ジストニアとは
ジストニアは全身のあらゆる筋肉にさまざまなパターンで生じます。一定のパターンで筋肉が収縮し、こわばったり、ねじれたりします。これにより思いどおりに体を動かせなくなります。このパターンは患者さんによってそれぞれ違います。
パターンや部位によっては、ジストニアに病名がついていることがあります。字を書くときに症状がでれば書痙、首に症状があれば痙性斜頸などとなります。同じ病名でもパターンはさまざまです。
頭の画像検査をしても、多くの場合は異常が見つかりません。何等かの原因で脳の神経回路に異常な信号パターンが生じてしまい、これにより体の筋肉が勝手に動いてしまいます。
ジストニアの主な症状と種類
眼瞼けいれん
目を開けづらい。
まぶしく感じる。
痙性斜頸
首がねじれたり、傾いて、まっすぐにできない。肩が上がる。
書痙
手がこわばって、字が書きづらい。字を書くときだけふるえる場合もある。
全身性ジストニア
身体がねじ曲がったり、
反り返ったりする。
ジストニアは、筋肉が異常に緊張する状態になっており、姿勢が異常になったり、筋肉の異常収縮によるゆっくりした運動が生じたりします。症状が出現する筋肉は患者さんによってさまざまですが、患者さん一人一人にとって、運動パターンは常に同じであり、特定の動作で症状が増悪することがあったり(書痙など)、手を触れるなどの感覚刺激で症状が改善したりする(感覚トリック)ことが特徴です。
ジストニアの病因
脳深部には大脳基底核という場所があり、運動の調節や学習に関わっていると考えられています。何らかの理由で運動調節のネットワークが異常となると筋肉の過剰な緊張が起きるようになります。原因の一つには遺伝性のもの知られており、ジストニアを起こす遺伝子は30以上も見つかっております。また原因が後天性で、大脳基底核の機能障害をきたすものとして、外傷、感染、薬剤、血管障害、腫瘍などがあります。薬剤性のものは抗精神病薬や制吐剤の内服を続けた後にみられることがあります。またこれらの原因がはっきりしない後天性のジストニアもありますが、繰り返す動作を続けたり、過度なストレスが続いたりすることで運動調節ネットワークの不調をきたし、ジストニアが生じるのではないかと考えられています。
ジストニアの診断方法
▼原稿の提供と、必要であればイラストの依頼をお願いします。
ジストニアの治療法
薬物療法
薬の内服、ボツリヌス毒素の筋肉内への注射などがされます。これらが無効、効果不十分であった場合、手術治療が行われます。
手術治療があることについてはあまり知られていないかもしれませんが、病気によっては完治に至ることもあります。
外科的治療
手術治療には、脳深部刺激療法、定位的凝固術、バクロフェン髄腔内投与療法などがあります。
脳深部刺激療法(DBS)
脳深部刺激療法は、脳の深部に電極を挿入し持続的に電気刺激することで、異常な信号パターンに陥っている脳の神経回路を調整し、症状を軽減させます。主に両側の淡蒼球内節という部位を刺激します。
ジストニア全般に適応となりますが、特に有効性が期待される疾患は、下記のものがあります。
- 全身性のジストニア
- 体幹部(顔・首・口・腰など)のジストニア
- 薬の副作用によるジストニア(遅発性ジストニアともいいます)
特に一部の遺伝性のジストニアや遅発性ジストニアでは、高い有効性が示されています。その他のジストニアについても、それぞれの症状パターンごとのデータは多くは報告されておりませんが、有効性が期待されます。
高周波凝固手術(RF)
定位的凝固術は、脳の深部に電極を挿入し熱を発生させることで、標的とする構造物を熱凝固する方法です。基本的に得られる効果は脳深部刺激療法と同一です。体内に器械の埋め込みを要さずに効果を得ることができます。
適応となる疾患は脳深部刺激療法と同一ですが、手や足などの身体の片側に限局しているジストニアに対して、最もよい適応があります。
バクロフェン髄腔内投与療法(ITB)
バクロフェン髄腔内投与療法は、全身性で難治性のジストニアの患者さんに対して体を柔らかくして症状を軽減させる目的で行われることがあります。
ジストニアのよくある質問
▼参考サイトより引用。内容をご確認の上、原稿の提供をお願いします。