脊髄刺激療法(SCS)とは
脊髄を刺激することによって痛みの緩和を図る治療として脊髄刺激療法(spinal cord stimulation: SCS)があります。
この治療では、脊髄に電気刺激を与えることで、痛みを引き起こしている神経の異常な興奮を調整することで、脳に痛みの信号を伝わりにくくさせることで、鎮痛効果が発揮されると考えられています。
脊髄刺激療法(SCS)の主な適応疾患
神経が原因となって生じる痛み(神経障害性疼痛)と、末梢血管の血流が不良(虚血)となり生じる痛み(血行障害性疼痛)に有効とされています。
神経障害性疼痛
- 脊椎手術後の神経の痛み
- 複合性局所疼痛症候群
- 脊椎疾患(脊柱管狭窄症、脊椎圧迫骨折など)の神経の痛み
- 末梢神経障害による痛み
- 糖尿病性ニューロパチー
- 切断後痛(断端痛、幻肢痛)
- 開胸術後の痛み
- 帯状疱疹後神経痛
- 脊髄損傷(外傷、炎症、腫瘍など)による痛み
- 脳卒中後(出血、梗塞)の痛み
抹消血流障害
- 閉塞性動脈硬化症
- バージャー病
- レイノー病
※脊髄刺激療法は、すべての痛みに効果があるわけではありません。
脊髄刺激療法(SCS)の効果・期待できること
▼参考サイトより引用。参考に、原稿の作成をお願いします。
- 刺激電極のみ挿入して行う試験刺激(トライアル)で、ご自身で効果を確認できます
- もし、試験刺激で効果が感じられない場合や治療が不要になった場合は、元の状態に戻ることができます
- 痛みの変化に合わせ、ご自身で刺激の調整ができます
- 痛みが和らぐことでこれまで服用していたお薬の量を減らし、副作用の軽減が期待できます
- 痛みを軽減することで、少しでも活動的な生活が送れるようになることが期待できます※
※治療効果は挿入されたリード位置により左右されます。効果を得るために術後の注意事項を守っていただく必要があります。
脊髄刺激療法(SCS)のメカニズム
▼参考サイトより引用。参考に、原稿作成をお願いします。
刺激発生装置は弱い電気信号を作り、延長ケーブルとリードを介し脊髄を刺激します。この電気信号により痛みの信号が伝わりにくくなり、代わりに心地よい刺激・感覚が脳に伝わるため、痛みが和らぎます。
通常、電気刺激は常に脊髄に送られますが、患者さんご自身がリモートコントロールで刺激のオン・オフを切り替えることができます。刺激の強さも調整することができます。
脊髄刺激療法はあくまでも痛みを和らげるものであり、痛みの原因を取り除く根治療法ではありません。
脊髄刺激療法(SCS)の使用機器
SCSは以下の機器を体内に植込みます。
患者さんは、専用リモートコントロールを用いて、刺激のオン(入)とオフ(切)の切り替えができます。
充電式のSCSでは充電器で定期的に充電します。
脊髄刺激リード
脊髄を包む膜(硬膜)の外側に植え込みます。リードの先端にある電極から電流を流します。リードには穿刺で行える棒状タイプと、外科手術が必要なパドルタイプがあります。
刺激発生装置
臀部や腹部などの目立たないところに植え込みます。微弱な電気信号を発生させ皮下のケーブルを介して脊髄に伝えます。充電式と非充電式の2つのタイプがあります。
専門リモートコントロール
医療者用コントローラーと、患者用コントローラーがあります。刺激発生装置の刺激のオンオフ、充電状態の確認、刺激条件やプログラムの変更などを行うことができます。
充電器
刺激発生装置の真上に、充電器をあてて充電を行います。数日に1回、数分から数十分の充電が必要です。
提供:日本メドトロニック/ボストンサイエンティフィック社/アボットジャパン合同会社
脊髄刺激療法(SCS)手術の流れ
▼参考サイトより引用。参考に、原稿の作成をお願いします。
脊髄刺激療法では、リードのみを挿入し、刺激の効果を確認する「刺激確認(トライアル)」と、効果が確かめられた後で刺激装置を植込む「本植込み」とがあります。
2回の手術で入院期間は3週間程度です。トライアルと本植込みを1回の手術で行う場合もあります。
1.治療目標の設定
治療の目標を医師と一緒に決めていきます。
痛みを和らげることが第一で、今ある痛みが半分以上軽減することを目標とします。
さらに、痛みによって日常生活で困っていることは何かを考えて、日常生活を改善していくこと(夜ゆっくり眠れるようになりたい、働きたい、散歩ができるようになりたい等)を第二の目標とします。
トライアル前に医師と相談して決めた治療目標を書き出し、トライアル中はこまめに日常生活や機能改善がどれだけあったかを記録します。
2.リード挿入
脊髄刺激療法が実際に患者さんに効果があって、痛みを緩和できるかどうかを確かめるために、試験的にリードを一定期間挿入して刺激を行います。
手術は局所麻酔下で行われ、硬膜外腔に挿入します。
効果がない場合はリードを抜けば元の状態に戻すことができます。
リードの挿入位置は痛みを最も軽減できる場所を医師と相談しながら決めていきます。
3.試験刺激(トライアル)期間
リードを挿入した後、1週間ほど試験刺激(トライアル)を行い、効果があるかどうか確認します。
患者さんご自身で体外式刺激装置を操作してより効果的な設定を試すことができます。
※リード挿入と同時に刺激装置を植込まれる場合、試験刺激期間はありません。
試験刺激(トライアル)期間中の注意事項
- 感じる刺激の強さは、寝ている時、立っている時といった姿勢によって変わります。また、首や体を曲げることでも変わることがあります。
適度な刺激になるよう、調整を行ってください。 - 体を大きく曲げたりひねったり、伸ばしたりしないでください。
- 体をねじる時はリードの位置が変わらないように肩と腰を一緒に動かすようにしてください。
- 階段の昇り降りや長時間の着席は極力控えてください。
- 2キロ以上の重たいものは持たないようにしてください。
- 刺激を不快に感じる時は刺激をオフにしてください。
- 傷口、リードや体外式刺激装置を濡らさないようにしてください。
- 入浴やシャワーは控えてください。
4.効果判定
試験刺激(トライアル)期間に、痛みの部位に心地よい刺激があり、痛みが半分以上緩和されているかどうかを確認します。
また、トライアル前に決めた治療目標通りの日常生活の改善や身体機能の改善がみられるかどうかを確認します。
5.刺激装置本体の植込み
刺激装置(トライアル)期間に満足する効果が得られ、患者さんご自身が納得されれば、刺激装置を体内に植込みます。
植込み手術は、局所麻酔もしくは全身麻酔で行われます。
通常、刺激装置は腹部や臀部のできるだけ目立たない場所に植込まれます。
刺激装置植込み後、トライアルで効果があった刺激の設定を行います。
本植込み後にお渡しするもの
安全情報の迅速な提供のために植込み登録をしますので、個人情報の提供にご協力いただくことになります。
また、患者手帳をお渡しします。この手帳には脊髄刺激療法に関する安全情報、使用されている機器の情報、治療を受けた病院情報等が記載されています。
6.治療終了
手術後10~12時間は、ベッドで安静にしてください。
手術後2日間は、ゆっくり歩くなど軽い動作のみ行うように心掛けてください。
手術後は試験刺激(トライアル)期間と同じ注意事項を守るように心掛けてください。(ただし入浴・シャワーは再開できます。)
7.刺激の調整
入院中に担当医師や医療関係者からプログラマの使用方法について説明を受けて、患者さんが問題なく操作できるように練習します。
これにより日常生活に戻ってから、刺激のオン・オフ、強弱を調整することでの痛みのコントロールを患者さんご自身で行えるようになります。
8.退院後
外出や旅行にお出かけの際は、患者手帳を持参してください。
刺激を感じなくなった等、異常を感じた時は、担当医師にご相談ください。
脊髄刺激療法(SCS)のリスク・副作用
▼参考サイトより引用。参考に、原稿の作成をお願いします。
使用できない医療機器・治療
下記の医療処置または医療機器により、植込まれている刺激装置が損傷したり、重篤な傷害を引き起こしたりする恐れがあります。絶対に脊髄刺激療法と一緒に行わないでください。
- ジアテルミ(温熱療法)
- 磁気共鳴装置(MRI)※
※MRI対応植込み型デバイスを使用している場合は、当該機器のMRI対応条件に伴い検査することが可能です。
注意が必要な医療機器・治療
下記の医療処置または医療機器により、植込まれている刺激装置が損傷したり、動作への干渉をしたり、患者さんご自身に悪影響を及ぼしたりする場合があります。担当医師の指導に従ってください。
- 植込み型刺激機器
- 砕石術
- 電気焼灼:単極焼灼器は使用しないこと
- 体外式除細動器
- 放射線治療
- 超音波スキャン
- 高出力超音波検査
日常生活における注意事項
刺激装置が植込まれていることにより日常生活に支障をきたす可能性は低いですが、強い電磁波を受けると刺激装置の電源が切り替わったり、激しい運動によりリードの位置がずれて効果が変化したりすることがありますので注意してください。
運動制限
重いものを持ち上げたり、激しい運動を行ったりすることで、リードの位置がずれる恐れがあります。リードの位置がずれると適切な刺激を得られなくなり、医師による再調整や再手術が必要となりますので、注意してください。
体位の変化
体を動かすことにより、リードの位置がごくわずかに動くことがあります。それにより刺激感が変化することがありますが、刺激装置が壊れているわけではありません。ただし、刺激の異常が感じられたら、担当医師に連絡してください。
家電製品
正常に動作し、適切に設置されているほとんどの家電および家庭用機器は刺激装置に干渉することはありません。ただし、家電製品が強い磁気を発生している場合は、刺激装置の電源が切り替わることがあります。
携帯電話
現時点では、携帯電話との相互作用のすべてが解明されているわけではありません。不安になった場合、または、問題が生じた場合は担当医師にご相談ください。
注意が必要な設備
以下の設備では急に刺激を強く感じるか、刺激装置のオン(入)とオフ(切)が切り替わることがありますので、注意が必要です。
- 防犯ゲート
- 金属探知機
- 電気自動車の急速充電器、普通充電器