痙縮とは
痙縮は、脳卒中(脳血管障害)や頭部外傷・脊髄損傷・脳性麻痺など、中枢神経(脳や脊髄)の障害によって起こってしまう麻痺に伴う後遺症の1つです。
痙縮の主な症状
痙縮が起こると、運動麻痺が生じた手や足の筋肉が徐々に硬くなり、以下のような症状が起きます。
足
はさみ足
股関節が内側に向いてしまう
尖足
立位で、かかとが着かない
内反
つま先が内側を向いてしまう
槌指(つちゆび)
足の指が足裏側に曲がってしまう
上記以外にも、「伸びにくい」「膝が曲がって伸びにくい」などの症状もあります。
肩や腕や手
握りこぶし変形
指を握りこんでしまう
肘関節・手関節の屈曲
肘と手首が伸びない
上記以外にも、「脇(肩関節)が開きにくい」「手首やひじが曲がり、伸びにくい」などの症状もあります。
体幹・その他
- 体が後ろに引っ張られるように伸びてしまう
- 手足を動かそうとすると勝手に手足が震える(クローヌス)
この様な状態が続くと、筋肉や関節が固まってしまったり、わずかな刺激で筋肉に異常な力が入り、締め付け感や痛みなどを起こして、眠れなくなったり日常生活動作に支障をきたし、生活の質の低下につながってしまいます。
痙縮の病因
▼原稿の提供と、必要であればイラストの依頼をお願いします。
痙縮の診断方法
▼原稿の提供と、必要であればイラストの依頼をお願いします。
痙縮の治療法
痙縮に対しての治療は、一般的には症状に合わせた薬物治療やリハビリテーションを行いますが、これらの治療に抵抗を示す場合は、筋肉へのボツリヌスによる注射療法や外科的治療により症状を緩和させることができます。
外科的治療
痙縮は、様々な中枢神経(脳や脊髄)障害を起こした時に認められる症状のことで、病気の種類は関係ありません。
また、痙縮治療は症状を緩和するもので、病気自体を治す治療ではありません。
選択的末梢神経縮小術
手や足の一部など、狭い範囲の痙縮に対しての手術方法で、手足の運動神経を手術により3/4から4/5程度に縮小し、痙縮を緩和します。
成人の脳卒中、頭部外傷、痙直型脳性麻痺に伴う、肩・肘・足関節などに認める痙縮において、薬物療法やリハビリテーションに抵抗性で、歩行や日常生活が妨げられている場合に行われる手術です。この様な痙縮は、一般的には筋肉へのボツリヌス注射療法が行われる事が多いですが、手術では単回の手術で完結できる利点があります。
選択的脊髄後根切断術
小児の痙直型脳性麻痺の中でも、痙縮の範囲が広く、中・重症度の下肢対麻痺の患児や、体幹に痙性を認める四肢麻痺の患児に対して行われます。
腰の部分で足の末梢神経(感覚神経)が脊髄に入る部分の神経を部分的に切断し、有害な脊髄反射を低減させ痙縮を緩和する手術です。
手術は、運動機能の評価が可能となる2歳半から学童期前半までが理想で、10歳以上は関節拘縮などを伴うことが多く、主治医と共に慎重に判断します。
バクロフェン髄腔内投与療法(ITB)
ITB療法は、病気の種類に関係なく、脊髄損傷・脳性麻痺・頭部外傷性および脳卒中後の広い範囲の痙縮に対して行われます。